サウナブームのいま、注目を集めているのが「テントサウナ」。キャンプ場や自宅の庭にテントを張り、その中にサウナストーブを置いて熱を起こす──施設に行かなくても、大自然のなかで「ととのう」ことができる、自由度の高いサウナのカタチです。
「興味はあるけど、何を選べばいいか分からない」「値段は?」「自宅やベランダでも使える?」「安全なの?」──いざ始めようとすると、疑問だらけのジャンルでもあります。この記事では、サウナ・スパ健康アドバイザーの視点から、テントサウナの種類・値段・選び方・使い方・安全に楽しむポイントまで、これ一本で全体像がつかめるように徹底解説します。
テントサウナとは?アウトドアで“ととのう”新定番

テントサウナとは、その名の通りテント型のサウナルームに専用のサウナストーブを設置し、好きな場所で楽しめる持ち運び可能なサウナのこと。ロシアやフィンランドで古くから親しまれてきた「モバイルサウナ」が原型で、日本では2017年頃から徐々に広まり、2019年以降のサウナブームと相まって一気に普及しました。
最大の魅力は、「サウナ→水風呂→外気浴」を大自然のなかで完結できること。水風呂は本物の川や湖、外気浴は風と鳥のさえずりに包まれる──施設サウナでは味わえない極上の体験が、テントひとつで手に入ります。キャンプ場や自宅の庭、許可された河川敷など、ロケーションの自由度の高さも人気の理由です。
テントサウナ3つの魅力

1. 大自然での「外気浴」が極上
サウナの真髄は外気浴にあり、と言われるほど“ととのい”を左右するのが休憩時間。テントサウナなら、川のせせらぎ・湖面を渡る風・木漏れ日のなかで休憩できます。施設では絶対に再現できない圧倒的な開放感が、テントサウナ最大の魅力です。
2. 温度・湿度・ロウリュを完全カスタム
「もう少し熱く」「ロウリュをもう一杯」──施設では言えない自分のリクエストが、テントサウナでは全部叶います。薪をくべるタイミング、水をかける量、休憩の長さまで、すべてを自分でコントロールできる完全プライベートな“整い空間”です。
3. 仲間と共有する新しいレジャー体験
キャンプとサウナを組み合わせる「サ活キャンプ」は、いま最も熱いアウトドアの楽しみ方の一つ。仲間や家族と熱波を分かち合い、ロウリュで歓声をあげ、星空の下でととのう──施設では味わえない一体感が生まれます。
テントサウナの種類 ── 形・サイズで選ぶ

テントサウナは形状によって、使い勝手も体験もまったく変わります。代表的な4タイプを、それぞれのメリット・デメリット・代表ブランドとあわせて押さえておきましょう。
キューブ型(四角・直立タイプ)
直方体で天井が高く、立ち上がってロウリュができる広さがあるテントサウナの定番形状。流通量がもっとも多く、3〜6人向けの大型モデルから2人用のコンパクトモデルまで選択肢が豊富。「初めての1張り」として最も無難な選択肢です。
✅ メリット
- 室内が広く、立ち上がってロウリュができる開放感
- 熱対流が安定し、室内の体感温度が均一になりやすい
- 3〜6人向けの大型モデルが充実、グループでも使える
- 設営手順がシンプルで再現性が高い
- 選択肢が多く、サイズ・価格・素材を比較して選びやすい
⚠️ デメリット
- 収納時のパッキングサイズが大きく、車での運搬が前提
- 直立壁のため強風に弱く、しっかりしたペグダウンが必須
- 価格帯は中〜高め(標準モデルで15〜30万円)
- 本体重量が比較的重い(20kg超のモデルも)
🏷️ 代表ブランド・モデル
- MORZH(モルジュ/ロシア)──キューブ型の代名詞。3層構造で断熱性◎、本格派の定番(日本正規代理店:SaunaCamp)
└ 付属ストーブ:INTENT(AISI 430スチール製・脚付き、テント組合せで実測105℃まで到達。ガラスドアは別売オプション) - AMBER(アンバー/日本)──「totonoi」シリーズが代表格。国内サポートで初心者にも安心
└ 付属ストーブ:ホンマ製作所「A-41」(重量約8kg・煙突径φ106mm・最大125℃対応のコスパ重視モデル) - SUNGA(サンガ/日本)──国産でリーズナブルなテントサウナ+専用ストーブのセットを展開
└ 付属ストーブ:Hoyryシリーズ(SUS430・側面ダブルウォール構造・ストーン最大16kg対応で本格的なロウリュ向き)
モロッコ型(とんがり屋根・煙突付き)
上部がすぼんだ円錐型で、フィンランドの伝統サウナ小屋「KOTA」を思わせるシルエット。薪ストーブとの相性が抜群で、本格派の見た目と熱のこもり方を求める方に支持されています。
✅ メリット
- 上にすぼまる形状で熱が天井に溜まりやすく、ロウリュ効果が高い
- 煙突を真上に立てる構造が自然で、薪ストーブと相性が抜群
- 雪・雨が屋根を流れ落ちやすく、荒天にも比較的強い
- 一本柱中心の設営で、見た目より組みやすい
- 本格的なシルエットで気分が上がる
⚠️ デメリット
- 円錐ぶん壁際は天井が低く、有効スペースはキューブ型より狭め
- 立ってロウリュできるのは中央付近のみ
- キューブ型に比べてブランド・モデル数が少ない
🏷️ 代表ブランド・モデル
- SAVOTTA(サヴォッタ/フィンランド)──老舗ミリタリーブランド。「HIISI」シリーズが代表的
└ 対応ストーブ:SAVOTTA STOVE(脚付き薪ストーブ・煙突とストーンラックが本体内に収納可能で携帯性◎) - tent-Mark DESIGNS「サウナテント」──モロッコ風シルエットの国内人気モデル
└ 対応ストーブ:「ウッドストーブ アウトサイドエア サウナストーブL」(SUS304・煙突径φ89mm。Circus TC + Chimney Wallとの組み合わせも可能) - Pomoly(ポモリー)──コーン型・煙突付きモデルがリーズナブルに揃う海外ブランド
└ 対応ストーブ:自社「T1」シリーズ等(チタン製・前面ガラス窓・折りたたみ脚。テントと別売りで組み合わせ)
ドーム型/ワンポール型
半球状や一本支柱で建てる軽量タイプ。パッキングサイズと重量を最小限に抑えたモデルが多く、ソロ〜2人のミニマルなセットアップ向き。サウナ専用ドームの選択肢は限られますが、コアなファンに支持されています。
✅ メリット
- 軽量で持ち運びやすく、設営も短時間で済む
- 少ない構造材でしっかり立つため、ソロでも建てやすい
- ミニマルでスタイリッシュなルックス
⚠️ デメリット
- 天井が低く、立ち上がっての動作はしづらい
- 形状的に熱対流が偏りやすい
- サウナ専用のドーム型は選択肢が少なく、汎用テントの流用は素材の難燃性に厳重注意
🏷️ 代表ブランド・モデル
- Pomoly(ポモリー)──ワンポール/ジオデシック系の軽量サウナテントを展開
└ 対応ストーブ:「T1 Timber」等の超軽量チタン薪ストーブ(重量2.3kg・厚み0.5mmで携帯性に最適化) - ※サウナ専用設計のドーム型はまだ少なく、選定時は素材の難燃性と煙突対応の有無を必ず確認
バックパック型/ポップアップ型
1〜2人用の超軽量モデル。リュックで運べるサイズ感とリーズナブルな価格帯で、「とにかく身軽にテントサウナを始めたい」「公共交通でも持ち運びたい」ソロサウナーに選ばれています。
✅ メリット
- 圧倒的に軽量(5〜10kg級)でリュックひとつで運べる
- 電車・バスでもアクセスできる機動力
- 価格が抑えめのモデルが多く、入門のハードルが低い
- 設営・撤収が短時間で済む
⚠️ デメリット
- 室内が極めて狭く、座ってじっとする使い方が中心になる
- ストーブも小型に限られ、出力は控えめ
- 高温まで一気に上げづらく、外気温の影響を受けやすい
- 断熱性は本格モデルに劣る
🏷️ 代表ブランド・モデル
- SAVOTTA「HIISI 2」──5.6kgの超軽量2人用ポータブルサウナテント。バックパック型の本命
└ 対応ストーブ:SAVOTTA STOVE(脚付き薪ストーブ・煙突とストーンラックを本体内に収納できる携帯性重視設計) - Pomoly「STOVEHUT 20」──ウルトラライト仕様のホットテント
└ 対応ストーブ:「T1 Timber」等のチタン超軽量ストーブと組み合わせるのが定番 - OneTigris──ミリタリー系の軽量ホットテント
└ 対応ストーブ:煙突ジャック装備のため、自社または他社の薪ストーブを別途組み合わせて使用
| 形状 | 広さ | 携帯性 | 本格度 | 向いてる人 |
|---|---|---|---|---|
| キューブ型 | ◎ | ○ | ◎ | 定番志向・複数人 |
| モロッコ型 | ○ | ○ | ◎ | 本格薪サウナ派 |
| ドーム型 | △ | ◎ | ○ | 少人数・軽量重視 |
| バックパック型 | △ | ◎ | △ | ソロ・超軽量派 |
ストーブの種類 ── 薪 vs 電気、どっちを選ぶ?

テントサウナの「熱源」は大きく分けて薪ストーブと電気ストーブの2タイプ。選ぶ基準は「どこで使うか」と「どんな体験がしたいか」です。
薪ストーブ ── アウトドア本格派の定番
圧倒的な火力と本物のサウナ室に近い熱質、そして炎を眺める非日常感が魅力。本格的なテントサウナ=薪ストーブと言っても過言ではありません。煙突の設置と薪の準備が必要で、屋外専用です。
電気ストーブ ── 手軽・自宅やベランダ向き
コンセントから電源を取って加熱するタイプ。煙突不要・薪不要で手軽さは抜群。一方で出力は薪より控えめで、しっかり高温にしたい派には物足りないことも。電源の取れる場所限定です。
ストーブの構造・温度が上がらないときの対処・薪ストーブの安全な扱い方など、より詳しい解説は サウナストーブ完全ガイド にまとめていますので、ぜひあわせてご覧ください。
値段の相場と必要な予算
テントサウナを始める時の費用感を整理しておきましょう。テントとストーブの組み合わせ・グレードによって、価格は大きく変わります。
| カテゴリ | 価格帯 | 内容の目安 |
|---|---|---|
| エントリー | 5〜10万円 | 簡易テント+小型薪ストーブ |
| スタンダード | 15〜30万円 | 定番ブランドのテント+薪ストーブ+煙突一式 |
| ハイエンド | 30〜60万円 | 高断熱・大型・高出力モデル(MORZH等) |
| 周辺ギア | +1〜5万円 | 薪・温度計・桶・椅子・防寒着など |
| レンタル | 1日 5,000〜15,000円 | テント+ストーブのセットを宅配 |
初めての方は、まずはレンタルで体験してから購入を判断するのが失敗しにくい流れ。年5回以上やるなら購入の方が長期的にはお得、というのが目安です。
失敗しないテントサウナの選び方
購入を検討するときに、必ずチェックすべき6つのポイントです。
- ① 何人で使う?──ソロ用(1〜2人)か、グループ用(4〜6人)かでサイズを選ぶ
- ② どこで使う?──屋外専用 or 自宅・ベランダ可で熱源が変わる
- ③ 熱源は?──薪(本格・アウトドア)か電気(手軽・自宅)
- ④ 素材は耐熱・難燃か?──通常のタープテントの流用は絶対NG(火災の重大リスク)。必ずサウナ専用の難燃テントを
- ⑤ 煙突穴・換気口は十分か?──薪ストーブには煙突穴必須、安全のため換気口も
- ⑥ 設営のしやすさ──ソロなら一人で建てられるか、複数人なら設営手順の明確さを確認
レンタル vs 購入|どっちが向いている?
「とりあえず試したい」「持ち運びが大変そう」と迷うあなたへ。レンタルと購入、それぞれの向き不向きを整理します。
| レンタル | 購入 | |
|---|---|---|
| 1回あたりコスト | 5,000〜15,000円 | 長期で割安に |
| 初期費用 | ほぼゼロ | 15〜30万円 |
| 保管・メンテ | 不要 | 必要(収納場所も) |
| 機材選択 | 提供品から | 自由 |
| 向いてる人 | 年数回・体験したい人 | 頻繁にやる・本格派 |
目安として年5回以上やるなら購入がコスト的に有利。それ以下ならレンタル、もしくは「気に入ったキャンプ場で借りる」スタイルが手軽で快適です。
設置できる場所と「禁止」── 自宅・ベランダ・キャンプ場・河川敷
意外と見落としがちなのが「どこで使えるか」。場所ごとにルールが異なり、無断使用はトラブルや事故、最悪は法令違反にもつながります。代表的な場所での扱いをまとめました。
- キャンプ場:近年「テントサウナOK」の施設が増加中。ただし必ず事前確認(火気・煙突の扱いは施設ごとに細かく異なる)。直火禁止ルールに引っかかる場合もあります。
- 自宅の庭:基本的に可能ですが、煙・においで近隣に配慮を。住宅密集地では事前に近所へひと声、消防への相談も安心材料に。
- マンションのベランダ:規約と消防法で火気使用が禁止のケースが多数。やるなら電気ストーブ式に限り、必ず管理規約を確認してください。
- 河川敷:自治体の条例次第。BBQ可エリアでも煙突・テント設営は別扱いのことも。事前に自治体・河川管理者へ確認を。
- 公園・国立公園:原則として火気使用は禁止。許可制のキャンプエリア以外では使用できないと考えてください。
「テントサウナ 禁止」と検索する人が多いことからも、場所のルール確認はテントサウナの最大の落とし穴。「やりたい場所=やっていい場所」ではない、と心に留めておきましょう。
必要な周辺ギアと持ち物

テント本体とストーブだけ揃えても、現地で快適に過ごすには周辺ギアが欠かせません。最低限揃えたい持ち物リストです。
- 燃料(薪または電源)/焚き付け
- 温度計・湿度計(必須・安全管理用)
- 一酸化炭素(CO)チェッカー(薪ストーブ使用時は強く推奨)
- 桶・ラドル(ロウリュ用)/水
- サウナチェア(外気浴の質を決める一脚 → サウナチェア完全攻略ガイド)
- サウナハット(頭部の熱対策 → サウナハット完全ガイド)
- 水着または巻きタオル
- サンダル/着替え/タオル
- 防寒着(外気浴・移動用)
- 雨対策のタープ(雨天時)
⚠️ 安全に楽しむための注意点
テントサウナは楽しい一方で、火・高温・密閉空間という3つの危険要素を扱うアクティビティです。命に関わる事故も実際に発生しているため、最低限のリスクは必ず押さえておきましょう。
1. 一酸化炭素(CO)中毒に最大の注意を
テントサウナでもっとも警戒すべきは一酸化炭素中毒。薪ストーブを密閉空間で使うと、無臭・無色のCOがたまり、最悪の場合死に至ります。過去にもテントサウナでの死亡事故が報じられています。
- 必ず換気口を開ける/煙突の取り付けを正しく行う
- COチェッカー(警報機)を必ず設置する
- 頭痛・吐き気・めまいを感じたら、すぐ外へ出る
2. 火災・テントへの引火
普通のタープテントを流用するのは絶対にNG。難燃素材のサウナ専用テントを使い、ストーブ周りには十分なクリアランスを確保しましょう。煙突の角度・接続部のゆるみも要チェックです。
3. やけど
ストーブ本体・煙突は触れただけで重度のやけどを負う温度になります。出入りの動線にストーブを置かない、小さなお子さんは絶対に近づけない、酔った状態でロウリュをしない、を徹底してください。
4. 脱水・熱中症
テントサウナは長時間使いがち。汗で失われる水分を上回るペースで水分補給を。体調が悪いと感じたらすぐ中断し、無理を絶対にしないこと。
5. 心臓・血圧への負担
急激な温冷交代は心臓に強い負荷をかけます。心疾患・高血圧の方は事前に医師へ相談を。健康な方でも、水風呂への入り方は段階的に。
まとめ
テントサウナは、アウトドアとサウナのいいとこ取りができる最高の遊び。同時に、火・高温・密閉空間を扱う、責任のともなうアクティビティでもあります。
- 初心者はまずレンタルで体験するのが安心
- 購入なら人数・場所・熱源の3軸で選ぶ
- 使う場所のルールは必ず事前に確認
- 一酸化炭素・火災・やけど対策は絶対に妥協しない
正しい知識と装備さえあれば、テントサウナは一生もののアウトドア体験になります。あなたの「ととのい」が、いっそう自由になりますように。

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